タイトル_なんようの匠たち
file:15 【天体】大國 富丸さん
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 大昔から人は星空を見上げて、その神秘な世界に夢を語り続けてきた。そして旅をする知恵として、また道具として星を活用するようになり、それから幾年も経ったのち、ガリレオ・ガリレイが望遠鏡を空に向けて、天体観測を始めてから400年余り。今もなお、多くの人々を魅了し続けている。
 ここ南陽市にも星に魅了され、天体観測によって数多くの小惑星を発見してきた“匠”、南陽天文愛好会代表の大國富丸さんを紹介する。

テキスト画像 きっかけ ──天体観測を始めたきっかけは?

「学問的な意味はなく、大学のときに望遠鏡を借りて「星を見て楽しむこと」を目的とした天体観望でしたね。本格的には1977年に白鷹町から南陽市に越してきて増築をする際、天体観測用の望遠鏡の架台を設置したのが観測のきっかけでした。」
 理科の先生であったことも、興味に向かう要因ではあったようですが、自宅に設置された天体望遠鏡をみて驚愕した。天体望遠鏡と架台を載せる基礎は2トンの重量に耐えなければならなかったと話されたが、それに合わせて増築をしたという。

いくつもの星を発見してきた大國さんと相棒の望遠鏡。
望遠鏡を覗き込むその目はいまだに衰えを知らない。

 

テキスト画像 ──これまで小惑星発見の数は?

「130個ほど発見したが、そのうち102個は国際天文学連合から命名認定済み※1です。1個目の命名は山形県で「Yamagata」1997年に認定されました。100個目の命名は、「Yamagatatemodai」2014年1月に認定されました。その名前は山形天文台にちなんだものです。 実は、ちょっとした言葉遊びがあって、小惑星の登録番号※2が48607だったので、“夜(4)は(8)無(6)限を眺(7)める山形天文台”としたんです。」
 大國さんの小惑星の命名方法は、このように非常に面白い。加えて山形にちなむものが多い。発想力は星の数同様に無限大であると感じた。 例えば、南陽市にある白竜湖にちなんで命名した「Hakuryuko」登録番号46689は、その白竜湖伝説から“庄(4)屋の娘(6)昔(6)白(8)(9〕龍に嫁ぐ”や、2012年4月に命名した小惑星「Daishinsai」登録番号31152は東日本大震災で犠牲になられた方々に哀悼の意を表すとともに、忘れてはいけないものとして名づけられた“3(3)月11(11)日午(5)後2(2)時46分東日本大震災”などがある。

※1 小惑星の命名認定とは:米国にある国際天文学連合小惑星センターで行うもの。
※2 登録番号とは:国際天文学連合小惑星センターで、発見された順に小惑星に付ける番号。この番号をもらうと命名することが出来る。
発見する方法についての説明をしてくれた。
白竜湖を示したもの。

 

テキスト画像 ──今後の目標とかはありますか?

「小惑星を発見するには、私の持つ望遠鏡の性能では限界となりました。あとは残りの発見した小惑星に命名する楽しみがあります。また、南陽天文愛好会の発展に努めたい。現在会員は23名ですが、現住所などには関係なく募集しているので、もっと若い人にも入って欲しいと考えています。特に親子天文教室は今年22年目を迎えます。自然が相手なので「見える・見えない」はもちろん天気に左右されますが、星が見えなくとも、楽しみを伝える術を身に着けた会員がたくさんいますので、多くの子供たちに気軽に参加して欲しいと思っています。」
 そう話す大國さんは「南陽天文愛好会」代表の顔をのぞかせた。南陽市民天文台では、毎週土曜日と夏の特別公開を8月1日〜7日まで無料で行っている。これを機会に子供と親子天文教室出かけてみるのもいい。
 最後にお歳を尋ねてまた驚いたが、82歳とは思えない姿とその感性は、どこで具えられたのだろうか。若さの秘訣があるとすれば、“夢中”になれた瞬間の多さと、億劫と思わず、天体望遠鏡を通して新しい発見の“ときめき”に出会えた数のお陰ではないだろうか。

南陽市民天文台は市民有志、民間財団などのご協力により、1986年に設立されました。
今年で22回目を迎える親子天文教室は、南陽市周辺の小・中学生を対象に、親子で星空に親しむことを目的に開催しています。

 

 

大國 富丸(おおくに とみまる)

南陽天文愛好会代表

南陽市赤湯在住

130個もの小惑星を発見したアマチュア天文家として有名。


■2014年3月取材

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