タイトル_なんようの匠たち
file:14 【南陽市唯一の「啓翁桜栽培農家」】江口 栄次 さん
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近年、冬に咲く桜として人気を集めている「啓翁桜」。12月中旬から3月まで楽しめるこの啓翁桜は、染井吉野(そめいよしの)のような太い幹はなく、形の良い枝が何本もまとまって一つの株を作っています。一足早く春の訪れを感じさせてくれる啓翁桜を南陽市で唯一栽培をされている江口栄次さんをご紹介します。

テキスト画像 きっかけ ──啓翁桜は栽培が難しいとお聞きしましたが?

「もともと野菜を作っていた私の父親が、南陽で誰も啓翁桜を栽培している人がいないのと、空いている土地があったので栽培を始めました。ですが、その矢先倒れてしまって、今は私が父親の意思をついで栽培しています。いろいろ試行錯誤を繰り返して、商品として出荷できるようになるまでに5年かかりました。今年で8年目ですが、今は約4000本の桜を栽培しています。」
啓翁桜は根張りが弱く、風や雪ですぐに倒れてしまうから栽培が難しい。去年も11月に降った雪で多くの枝が倒れてしまったらしく、雪の中から掘り返すのも一苦労とのこと。カモシカに枝を食べられることもあるようで、天候や自然を相手に苦労することも多いようだ。

大量の枝についている芽をひとつひとつ確認しながら長さをそろえて切っていく。
長さごとに束ねた後、100時間ほど休眠させてから加湿室へ移動する。

 

テキスト画像 ──江口さんこだわりの加湿方法があると伺いました。

「晩秋に枝を切出して、長さを切りそろえた後に3週間ほど加湿するんだけど、その方法がちょっと違うんだ。本当は企業秘密にしたいんだけども(笑)。」
詳しくはお教え頂けなかったが、いわゆるロードヒーティングの要領で暖かいお湯を床に張り巡らせたホースに流して温度を管理しているとのこと。江口さんは普通の人よりちょっと長い期間加湿するそうで、それにより桜の色が鮮やかになるのだそうだ。江口さんのひたむきな努力があるからこそ、美しい花を咲かせることが出来るのだ。

「お客様の手元で満開を迎えられるよう、花が咲く前に出荷するので花びらの色づきなど確認できないが、芽の具合でどの程度の色がつくかだいたい分かる。」
小滝地区は夏場湿気が多く、夏から秋にかけての昼夜の気温差が大きい。こういった地域の特性が充実した芽の生育につながるそう。
選定された枝はこのハウスの中で3週間ほど徹底した温度管理のもと加湿される。
夜でも冷えないように、
常に気を配らなければならない。

 

テキスト画像 ──最近は息子さんもお手伝いを始められたとお聞きしました。

「今はひまわりなども育てているが、いわゆる”枝物”の栽培を増やしていきたいと思っている。11月ごろに出荷できる桜の品種もでてきているから、今後は息子にも手伝ってもらって、その品種の栽培に挑戦できればと思っている。」
新しい品種への取り組みを、今度は親子で挑もうと志気を高める江口さん。これまでの豊富な経験を活かし、春の息吹をさらに一足早く お客様に届けられるようにとの想いは、まさに匠の心意気だ。

出荷直前の芽は、今にもはちきれそうだ。
やはり桜をみると、雪があっても春の訪れを感じる。

 

 

江口 栄次(えぐち えいじ)

南陽市唯一の啓翁桜栽培農家

農業を始める前はプレハブ業者で働いていたとのことで 作業している小屋もご自身で作られたそう。

■2014年2月取材

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