タイトル_なんようの匠たち
file:10 【南陽おかひじき部会 部会長】横沢 茂光さん
file:10 【南陽おかひじき部会 部会長】横沢 茂光さん
飽きのこない味わいにシャキシャキとした食感がたまらない野菜の「おかひじき」。海草のひじきに見た目が似ていることが名前の由来とされています。このおかひじきは南陽が栽培の発祥の地です。
伝統の野菜の品質を高め、広くアピールしている「南陽おかひじき部会」部会長の横沢茂光さんをご紹介します。

おかひじきと30余年 ──横沢さんがおかひじきを作られるようになったのは?

「高校を卒業し、実家を継ぐ形で就農しました。家業以外の仕事に就くことも考えなかった訳ではないのですが、やはり自分ができるのはこの仕事だろうと決めました。
 すでに部会(南陽おかひじき部会)に父親が入っていて、後に続くように私も入ったんです」

 50代半ばの横沢さん、おかひじきとの付き合いはなんと30年以上にもなる。
 高校卒業後、おかひじきの他にも季節毎に色々な野菜を作っていたが、部会で試食販売や市場視察を繰り返すうちに、おかひじきの将来性を感じ徐々に面積を増やしていったという。
 山形以外ではなかなか手に入らない野菜。栽培も全国的ではなく、生育方法も確立されていないだけに農薬1つとっても悩みどころだという。
 また部会では一年を通した継続的な出荷を目指し、旬を過ぎた夏季も収穫を行う。その時期の厳しい寒暖差への様々な対応で毎日が過ぎてゆく。
 同じことの繰り返しだと苦笑をこぼした横沢さんだが、私達が思う「同じ」とは重みが違うのだろうと感じた。

軽く茹でてからし醤油で和えるのがメジャーな食べ方の「おかひじき」
笑顔は少ないが、飾らない言葉が彼の実直さを思わせる。

 

新たな味との出会いを繋ぐ ──前回は新潟で試食販売会をされましたね。

「直接消費者の方の評価をいただける大切な機会でした。おかひじきの試食後『初めて食べる食感!』と購入する方がほとんどでご好評をいただきました。『いつも食べてます』と声をかけられることも最近はあります。
 直接お客様の反応を見ることで、新しい視点で栽培に取り組むことが出来ますし、やはり目の前で『美味しい』と言っていただけるのが何よりの喜びです」

 新潟での試食会は盛況だったという。
 すでに次回の打診もあるが、そう頻繁には出向くことができないと農業家らしい悩みも打ち明けてくれた。
 部会のおかひじきはインターネット販売も行っている。そこで書き込まれた「おいしかった」「また食べたい」などの素直な感想は、皆の活力だと言う。
 横沢さんにとってのおかひじきは” 自分と人(他人)をつなぐもの“。だとすれば、消費者の「おいしかった」は何よりの成果だろう。
おかひじきの生い茂る様は、名前の由来の通り海草が繁茂しているように見える。

 

南陽の未来を創る匠たち ──山形県ベストアグリ賞を受賞され、これからどんな活動を考えていますか?

「もちろん私達の努力だけでなく、おかひじきを育て、広めた先輩方がいたからこそ頂けた賞なのだと思っています。
 ただ、部会の高齢化も進んでいます。最近30代のメンバーが入り、積極的に働きかけてくれるので頼もしく思っています。そんなやる気のある人をもっと増やしたいですね。
 あとは、真冬を除いた通年出荷をしているので、そのおかひじきの品質の維持・向上でしょうか」

 優れた実績を挙げ、先駆的な農業者などに贈られる山形県ベストアグリ賞。昨年南陽おかひじき部会は、前部会長土屋清氏のもと受賞に輝いた。
 その栄誉におごらず部会と横沢さんはさらに高みを目指す。
 もちろん今でも品質は十分に高い。口当たりは柔らかいにも関わらず、シャキシャキとした食感は損なわれていない。芸術家がキャンバスに描き出した絵画を目で楽しむように、丹精込めて作られたおかひじきは同じく舌を楽しませてくれた。

 こちらの質問にしばしの間を置き、熟考した後にゆっくりと語りだす。そんな南陽人らしい実直さを感じさせる横沢さんは、確かに南陽の匠だった。
南陽おかひじき部会のメンバー達。皆おかひじきのブランド化に情熱を燃やしている。
じっと畑を見つめるその姿に、なにか固い決意のようなものを感じた。

 

 

 

横沢 茂光(よこざわ しげみつ)

南陽市和田出身
JA山形おきたま南陽おかひじき部会 部会長

他県への試食販売会を開催するなど精力的に活動中

■2012年8月取材

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