タイトル_なんようの匠たち
file:6 【黒澤ファーム】黒澤信彦さん
file:6 【黒澤ファーム】黒澤信彦さん
今年も新米の時期が来ました。
そこで今回は第2回おいしい米づくり日本一大会最優秀賞受賞、米・食味分析鑑定コンクール4年連続受賞と輝かしい受賞歴を誇る米作りの名人、南陽市池黒の農業生産法人株式会社黒澤ファーム代表黒澤信彦さんをご紹介いたします。
ストレートに“あまい”愛情を” ──すでに収穫も終わり、ちょうど一息ついたところでは?

「いえ、すでに次の米作りは始まってるんです。収穫直後に肥料を撒いて耕し、収穫後に田んぼに残される稲藁の分解を促進することでより良い土ができます。稲は自分で動くことが出来ないので、人の手で健康に育つ手助けをしなければなりません」
 南陽の大地は、雪解け水が田んぼを潤し、昼夜の寒暖の差が米の旨味を引き出す。しかし黒澤さんは自然の力だけでは最善ではないという。
 同じく重要なのは農閑期の情報収集と営業だと、企業人としての顔も見せる黒澤さん。丹精込めて作ったお米をお客様の手に届ける為には片時も休む暇はないのだ。
凛々しい「黒澤一門」の書が味への期待を膨らませる。今年の「夢ごこち」は例年より粘りが強いという。
今年も収穫後の耕耘を済ませた黒澤さんの田圃。

 

何もないから何でもあるへ ──「夢ごこち」という品種を主力商品として生産されていますが、それはなぜでしょう?

「初めて食べた時、このお米を作りたいと強く思ったんです。それからこの米の特性を活かす米作りを追求してきました。
 『健康な稲を育てれば美味しい旨い米になる』というポリシーに共感していただいて、今では様々な所へ卸させていただいています」

 レンジで再加熱してももっちりとした食感が味わえる「夢ごこち」。
 紙マルチを使った有機栽培を取り入れ、散布したはちみつと海藻エキスが雑菌の繁殖を抑制することで稲の登熟を促進する。これらの手法の根源に『健康な稲を育てれば美味しい旨い米になる』が常にある。
 “食”への意識の高い老舗料亭や大手百貨店が支持するのは、お米だけでなく社会・環境をも内包したその黒澤さんの考え方なのだ。
紙マルチ田植えの様子。敷かれた紙が雑草を抑え、稲の生育を助ける。紙ももちろん環境に配慮している。
はちみつと海藻エキスを散布。これを黒澤さんは稲の「栄養ドリンク」と呼んでいる。
精米の工程だけでも、色で選別・光の屈折率で選別するなど、設備投資でゆうに1千万円を超える。

 

南陽の未来を創る匠たち ──独自に直売・販路拡大されていますが、積極的にご自身が営業されるのはどうしてですか?

「生きることは食べることだと私は思っています。だから皆さんにはもっと毎日の食事に気を使って欲しい。
 農家も今までは作る事に徹していました。しかしどの生産者にも直接口に運ぶものを作っているというプライドがある。
 だからどんな気持ちを込めて作ったのかを知れば『ここのお米を食べたい』と思う人が沢山いると信じて、私は日本全国を駆け回っています」

 直売開始以前から物言う生産者として20年以上走り続けてきた黒澤さんは、生産者はもっと自分の育てたものをその気持ちごとアピールすべきだと語る。
 平成21年には“おきたま七福会”を発足し、その輪は南陽から大きく広がろうとしている。
 転換期を迎えようとしている日本の農業。その自信に満ちた語り口に、今こそ彼のような南陽の匠が立つ時だと、確信を得た。
写真は昨年の「米・食味分析鑑定コンクール」で特別優秀賞を受賞したときのもの。今年はそれを上回る金賞を受賞。
ウェブサイトも自身の顔を出して、積極的なPRをしている。

 

 

 

黒澤信彦[くろさわのぶひこ]

農業生産法人 株式会社 黒澤ファーム 代表
黒澤家21代目当主
第2回おいしい米づくり日本一大会
減農薬部門最優秀賞受賞
米・食味分析鑑定コンクール4年連続受賞
県内では「コシヒカリ」の単一品種改良種「夢ごこち」栽培の第一人者である。

農業生産法人 黒澤ファーム 公式サイト

■2011年11月取材

ページ上部へ