タイトル_なんようの匠たち
file no.1 【鈴木農園】鈴木威光さん
file no.1 【鈴木農園】鈴木威光さん
ここ南陽市の沖郷地区は、米とサクランボの生産に適した土壌の地域で、サクランボの品評会では沖郷の多くの農家が受賞常連となっています。
その中でも、南陽市サクランボ品評会バラ詰めの部で、4年連続最優秀賞を受賞され、農文協発行の月刊「現代農業」でも紹介されているサクランボ農家・鈴木威光さんを紹介します。
魔法の剪定──4年連続最優秀賞は素晴らしい記録ですが、特別な栽培方法があるのでしょうか?

「実は、特別なことはやっていないんだ。この本の著者である上山の黒田実さんに教わった剪定方法をしているだけだよ」と本を渡された。
 よくよく読むと、なんと鈴木さんもその本に載っているではないか。
 その剪定は、「一年棒三年枝栽培」というらしく、摘果、葉摘みしなくても2L、3Lの大玉で糖度が高く、しかも真っ赤に色づく魔法の剪定だという。
 まだ雪の残る3月に剪定をすれば、その年のおおよその収穫がみえてくるという。
左:黒沼実著「サクランボつくり」
右:鈴木さんが紹介された「現代農業」
鈴木さんのサクランボハウス

 

こだわりの“手間”──お話いただいた剪定以外で、ご自分なりのこだわりなどはあるのですか?

「普通にやるべきことをやってるだけだよ。ただ、自分なりの摘葉や摘果をおこなってみた。よく周りから“そんなことしたら実がならなくなるぞ”といわれたが、3年経って間違っていなかったと証明できた。黒田さんと出会って、自分のおこなってきた手間が間違いないと確信できたんだ」
 鈴木さんは、自分の代で主要作物をサクランボに切り替えた。先々代に数本あったが現在では50アールまで増やしている。  先祖代々のサクランボ農家ではない分、疑問や悩みが多かったはず。それが、逆に“ものづくり”への真剣な取り組みにつながり、非常に勉強家である性格も手伝って、理屈では表せない成果となっているのだろう。
摘果を済ませたサクランボ。これが後に真っ赤で糖度の高い実へと成長する。

 

太陽は平等に陽を注ぐ──お聞きした他に、心に留めているところはありますか?

「お日さまは、人にも田畑にも平等だ。平等にくれるものをまんべんなくサクランボにも分け与えるようにしている、ただそれだけ。そう考えると、ムラのない生産ができるし、作業効率もいい」
 確かに、利益を追求すると、作付面積に対し苗木を増やすことで収穫量を増やそうと考えがちである。しかし、そうすると枝が隣り合うためにサクランボが葉で隠れてしまい、太陽が当たらなくなって摘葉作業も増え、木々の間隔が狭いために作業効率が悪くなる。
 量よりも質を目指す、より美味しいサクランボを消費者に提供しようという一貫した思いが、農家であると共に経営者である所以といえる。
今年も順調に色付く鈴木さんのサクランボ

 

「あとは、恵まれた土地だな。山形県の置賜地方では南陽市、その中でも沖郷地区がサクランボ栽培に適しているんだ」と、さらりと最後に鈴木さん。

生まれ育ったこの土地を愛し、農業に誇りを持って取り組んでいる、まさに「なんようの匠たち」のひとりであると感銘を受けた。

 

鈴木威光(すずきたけみつ)
鈴木農園
農業歴35年
南陽市沖郷生れ
サクランボ畑100アール(未成木50アール)
田んぼ300アール
りんご50アール
ラ・フランス20アール

JA山形おきたま
さくらんぼハウス栽培研究会会長

■2011年5月取材

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