タイトル_郷土の偉人

金田屋魚店


 南陽市の赤湯温泉街大通りに鮮魚店があります。
安政年間に創業したと記録されており、155年もの長い間同じ地で赤湯温泉と共に歴史を育んできた「金田屋魚店」です。
 創業者は初代金田屋皆川与助。江戸時代に御用商人として財をなし、東置賜地方では最も古く、また永続している店舗として記録されている由緒ある鮮魚店です。

 店内は、旬な魚でいっぱい。この時期は、丸々と肥えた寒ダラ、アンコウなどをはじめ、庄内で獲れた特大のアワビなどが並びます。朝9時の開店と同時に常連のお客様が顔を見せ、目当ての魚をさばいてもらいながら世間話に一花咲かせます。

 惣菜も豊富で、7代目の奥様である博子さんの手作りの煮物や、煮魚、揚げ物などがところ狭しと並んでいます。一人暮らしの高齢者が手間をかけず食べられるようにと配慮し、お昼ご飯に間に合うようにと午前中まで調理を済ませるという徹底ぶりです。

寒鱈
目を見張るような立派な旬な魚がズラリ

 

 3階建ての立派な建物は昭和12年に建てられた店舗を平成19年新築したもので、3階には宴会場が設けられ、行事などで広く地域の方々に利用いただいています。5代目までは「与助」を襲名制としていましたが、時代の流れで6代目から廃止。現在は、7代目となる皆川朗(みながわあきら)さんが当主となりました。

 7代目当主皆川朗さんに155年も続いている経営の秘訣などを伺ってみました。

──6代目から引き継いだ経営方針などはありますか?

「商人として大切なのはまず地域の信頼・信用をまず得なければならないことなのですが、そのためには、新鮮で旬な美味しい魚を仕入れることから始まり、できるだけ安い価格でお客様に提供することが重要ということは、自然と継承されてきたことだと思います。
 6代目は温泉街の旅館との取引だけではなく、来店されるお客様ひとりひとりに親切に対応をしていました。これも働きぶりから教えられたように感じます。」

勘定の様子
世間話で盛り上がるのも個人店ならでは
旬な魚と組み合わせた煮物
旬な魚と組み合わせた煮物
秋刀魚の塩焼き
焼き魚も高齢者にはうれしい

 

──若くしてお店に戻ったわけですが苦労などはありましたか。

「すぐ近所にスーパーマーケットができ、徐々に客足が減少してきたことかな。それよりも厳しかったのはライフスタイルの変化による魚離れだったんです。経営の存続について悩んだ時期もありましたが、日常ではないお祝いや季節毎の行事などの際には、刺身などをご注文いただき、皆様に支えていただきました。
 心機一転と2004年にお店を新築し、自分ができることとして老舗料亭で修業した経験を活かせるようにと宴会部屋を設けました。冠婚葬祭をはじめ新年会や忘年会など、地域の皆様にご利用いただいていることは、励みにもなっています。」

──ここ南陽という地で継続していくための方針がありましたら教えてください。

「仕入する際は、お客様の顔が一番に浮かんできます。希望にあうものは取り揃えたか、旬の魚であるか、調理はどうするかなど、それは、旅館に宿泊され召し上がるお客様も、店までわざわざ足を運んでいただけるお客様も、すべて地域のお客様という考えでこれからも励んでいきたいですね。」

昭和12年に建てられた店舗
昭和12年に建てられた店舗
現在の店舗
現在の店舗

 

 鮮魚を通して、地域に根差すことは魚離れの現代において非常に困難であることは、赤湯地区に戦後10軒ほどあった鮮魚店がいまや3軒となってしまったことが物語っています。しかし、金田屋魚店は、変わらず赤湯の台所として、お客様のお好みや予算に応じて魚をさばいて提供しています。
 取材を通し、「信頼」という言葉を7代目は多く口にしていましたが、産地の旬を見極める知識の「専門性」、職人ならではの目利きによる「安心性」、清潔な仕事環境での「安全性」、多様化する嗜好に対応ができる「柔軟性」、そして地域社会で営む中で、誠心誠意顧客と向き合う「人間性」がすべて揃っていることがこれからも金田屋を継続する礎になっていることを確信できました。
 ご長男も山形市内の高級料亭での修行に入られたということで、8代目への期待も朗さんの笑顔から垣間見ることができました。
 6代目浩一さんの奥さま 幸子さんもまだまだ現役で、お店の大黒様として笑顔を毎日振りまいてくれています。
 清潔が保たれた店内に、笑顔が溢れる金田屋魚店。これからも新鮮でおいしい魚を提供してくれる“赤湯のお魚屋さん”としてよろしくお願いします!


6代目浩一さんの奥様幸子さん(お店の大黒様として今も現役)
6代目浩一さんの奥様幸子さん
お客様とも気さくに会話する笑顔の7代目
お客様とも気さくに会話する笑顔の7代目
新鮮な刺身の盛り合わせ
新鮮な刺身の盛り合わせ
7代目 奥様 博子さんと

SNAP

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金田屋魚店(有限会社金田屋魚店)

〒999-2211 山形県南陽市赤湯774

TEL:0238-43-2014

宴会場は料理3,000円から承っております。

1階:15名部屋

2階:最大30名(15名×2)部屋

■2015年2月掲載

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